ひとりじゃない ひとつ
お父さんへ
お父さん、
ねぇ、お父さん
明日、じいちゃんがこっちに来るよ
お父さんが最後にじいちゃんと会ったのは、去年のお正月だったね
私と子どもとじいちゃんと
病院に行ったの、覚えてる？
あの時さ、お父さんは車椅子に乗って廊下に居たよね
じいちゃん、お父さんを見るなり
お父さんの手を取って泣いたんだよ
『なんで、こんなことになっちゃったんだ…』って
泣いていたよね
お父さんは、じいちゃんのこと分かっていた？
分かってたよね？
今度はさ、
じいちゃんが入院だよ
お母さんは、
正直、悲しいよ
お父さんが居なくなって
次はじいちゃん…
ねぇ、お父さん
神様は本当にいるのかな？
教えてよ
本当にいるのなら
なんで？
もうお別れはたくさんだよ
親は先に逝くのは普通なのかもしれないけど
でもさ…
悲しいよ
お父さんはきっと
『まあ、まあ、それは仕方がないよ
順番なのだから』
って言うような気がする
そう、
仕方がない、順番だものね
わかってる
わかってるよ
それならさ、
お父さんは横入りしたってことじゃない！
お義母さんより先に逝っちゃってさ
割り込みはダメだよ
しかもさ、
早すぎるでしょ
あと20年、30年は居てもおかしくなかったよ
そんなこと言われても
困っちゃうか…
あのね、お父さん
お願いがあるの
じいちゃんが無事にこっちに来れるように
お父さんに守って欲しいの
ねっ、お願い
どうか上手くいきますように。
お母さんより
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つぼみ AquaTimez
