私、守れなかったね
お父さんが脳出血で倒れた直後
私はiPhoneに容態をメモしていた
倒れた日の翌日に受けた血腫除去の手術のこと
数日後の脳の減圧の手術や
溜まってしまう脳髄液を流す為の手術のこと
あの日の夜
主治医から呼び出されて娘と息子と病院に行った
脳の腫れが脳幹を圧迫して呼吸が難しくなっている
人工呼吸器を着けるか着けないか
決めるように言われたんだ
呼吸器を着けても、脳死の植物状態になるかもしれないし
死ぬかもしれないとも言われた
あの時
もうダメかもしれない
お父さんが死んでしまうかもしれないと
怖くて
悲しくて
心細くて
3人でたくさん涙を流した
でも
お父さんは頑張った
その後も手術を2回受けて
ちょっとずつ、本当にちょっとずつだけど
良くなって行ったのだよね
お父さんは辛かったよね
苦しかったよね、痛かったよね
よく頑張ったね
私達の為に生きようと
1年も闘ってくれたのだ
どうもありがとうね
それなのに私は
お父さんを助けてあげられなかったよ
守ってあげられなかった
ずっとずっと
そばにいて
お父さんを見ていたかった
助けてあげたかった
守ってあげたかったのに
お父さん、ごめん
ごめんね、お父さん
永遠の命なんて
あるわけないのは分かってる
誰もが皆
いつかは必ず死ぬのだ
私も
娘も息子も
うさぎ達も
知ってるよ
でもね
大切なモノたちが
私の前から消えてしまうのが
悲しい
怖い
さみしいよ
だからお願い
みんなは私が守るから！
だから
私の前から居なくならないで
ねっ！約束だよ。
